Greenberg (2010)はベン・スティラー (Ben Stiller)、グレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)主演の映画。
監督・脚本はノア・バームバック (Noah Baumbach)
予告編(英語)はこちら
同監督の最新作Frances Haの評判が良く、日本でも公開予定との事(配給会社エスパース・サロウtwitter)で、まずはiTunesで本作品を観てみました。
始まりはフローレンス(グレタ・ガーウィグ)がLAの街を運転するシーンから。フィリップ・グリーンバーグ(クリス・メッシーナ)一家のパーソナル・アシスタントとして働いているものの、彼女は大学を出てからの進路が定まっていない。一方フィリップの兄であるロジャー(ベン・スティラー)も15年前の夢に破れて以来、職業に就かず、精神的な落ち込みがひどくて精神科から退院したばかりという状況。そんな二人がLAのグリーンバーグ家で出会う。
ロジャーは精神衰弱のせいなのか、もともとの性格からなのか、とにかく精神的に未熟。独りよがりで人を傷つけないようにしていると言いながら率直な物言いで傷つけている。そして信条は「何もしないで生きる(Try to do nothing)」。一見共感しづらく、わかりにくい話でした。ロジャーの極端なまでの何もしなさとその孤独は、もしかしたら観客にも通じるところがあるのかもしれません。
これだけは確かなのは、グレタ・ガーウィグが魅力的だということです。
他、気になった出演者としては、
ロジャーの友人としてリース・イヴァンス( Rhys Ifans )、彼は最近Elementary(ホームズ&ワトソン in NY)のマイクロフト役でなじみがあります。あとは、Dave Franco (James Francoの弟)、Juno Temple、Zosia Mamet(GirlsのShoshanna)など旬の20代俳優、Merritt Wever (ナース・ジャッキー、グッド・ワイフでウィルの妹役)、マーク・デュプラス(Mark Duplass、the Mindy Project他に出演)などが観られました。
蛇足ですが、ロジャーの元カノを演じたJennifer Jason Leighは当時ノア・バームバックの奥さんで脚本をともに執筆しましたが、その後離婚したそうです。ノア・バームバックは最近グレタ・ガーウィグと再婚しました。ロジャーとフローレンスの年齢差が15年、ノア・バームバックとグレタ・ガーウィグは14年と大きく年が離れています。だからどうというわけでもないですが、この脚本に監督自身も少し反映されているのかと思いました。
追記(2014.11.10)
フランシス・ハが公開され、ノア・バームバック監督のインタビュー記事が日本語で出ていました。
webDICE (http://www.webdice.jp/dice/detail/4373/) の一部を引用します。
──あなたの映画の登場人物は「ライ麦畑でつかまえて」の主人公ホールデン・コールフィールドのように、必死でニセモノっぽさや気取りを回避しようとしているように見えるけど、ときどき墓穴を掘ったりしています。今のあなたでさえ、こういったことにもがいているのでしょうか。
バームバック監督:
Greenbergの主人公は年を取り過ぎていた、のくだりが、映画のほろ苦さを集約している気がします。一方で、フランシス・ハはNYを魅力的に写しつつ、若者が夢を追い続ける上での困難さ、生きづらさを真正面から描きます。そして、Greenbergとは違って、主人公フランシスの希望を見せます。世界中のみんながあの本を好きだよね。僕らもみなあの主人公に共感している。もちろん、彼は15歳だけど(笑)。僕は人々の考えや人生に興味がある。それから彼らの理想世界と、それが実際に叶うのかどうか。『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』の主人公は、そういった現実に果敢に立ち向かうことができないし、そのように生きるには年を取り過ぎていた。映画がそれを反映していた。フランシスは、もし軌道修正できたら、とても幸せな人生を送れるかもしれない、人生の真っただ中にいるんだ。だから、この映画は異なったトーンと、喜びを持っている。僕は人々の人生の様々な時点に興味がある。『イカとクジラ』ではホールデンに近い年齢の人物を登場させたから、あの本や主人公ととても共鳴するんだと思う。僕らは人生を通してこうした問題にもがき続けるんだ。
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